【海外旅行】一人旅(バックパッカー)向けの世界の歩き方

日本にいるだけじゃ勿体無い!!100日間バックパッカー世界周遊を通して『旅の楽しさ×旅の知識』を共有します。

ルーブル美術館の主要作品30選|エピソード付きで完全網羅!

ルーブル美術館のルーヴルピラミッドと建物



ルーブル美術館レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』を所蔵していることで知られていますが、世界一有名な美術館として西洋美術の宝庫です!



本日はルーブル美術館の主要作品をエピソード付きで完全網羅!これから訪れる方の参考に、30作品に厳選し、観光に役立つ情報もお届けします!!



こんな方におすすめ!

  • 有名な作品はとにかく全て押さえたい!

  • 作品単体のエピソードを体系的に学びたい!

  • 鑑賞ルートや訪問時の注意点を知りたい!



作品の展示場所については変更になることがあり、鑑賞ルートについては、モナ・リザサモトラケのニケなどの門外不出の作品を除いて、本記事では紹介していません。



その代わり、作品についてより興味を持っていただく為に、絵画作品と彫刻・出土品を分けて、さらに過去から現在に時代を遡るように紹介しています。



ルーブル美術館では、主に13世紀から19世紀までの西洋美術の絵画が展示されており、絵画については「15世紀のルネサンス美術から19世紀のロマン主義まで」、彫刻・出土品は古代エジプト美術からルネサンス美術まで」を厳選しています。



それぞれの時代背景に沿った美術様式も理解しながら各作品を知ることができるような構成にしており「膨大な情報」を載せているので、これからルーブル美術館を訪れる予定の方は「ブックマーク」しておくことをオススメします。



また、あらかじめ気になる作品がある方は目次から直接進んでください!




ルーブル美術館について

ルーブル美術館の建物の外観



西洋美術作品を紹介する前に、ルーブル美術館について簡単に要点をお伝えします。


・パリ観光の人気スポット!

・世界で最も有名な美術館!

・世界三大美術館の代表格!

・世界一の来場者数を誇る美術館!

・年間来場者数は約960万人!

・所蔵する作品は約38万点!

・元々は要塞であり国王の宮殿!

・映画ロケ地として多くの作品に登場!


ルーブル美術館はパリ観光でも1,2位を競う人気の観光スポットであり、中庭にあるガラスのピラミッド、通称「ルーヴル・ピラミッド」は誰もが一度は見たことがあるはず。


そして世界で最も有名な美術館として世界三大美術館に必ず名前が挙がります。


世界三大美術館とは?

ルーブル美術館(フランス)

メトロポリタン美術館アメリカ)

エルミタージュ美術館(ロシア)

※世界五大美術館とする場合は、プラド美術館(スペイン)と大英博物館(イギリス)が含まれます。



来場者は年間で約960万人が訪れており、

平均すると1日あたり約2−3万人が訪れていることに!


日本が誇る国立新美術館の年間来場者数は約260万人となるので、圧倒的な人気ぶりがうかがえます。


またルーブル美術館は約38万点の作品を所蔵しているとされ、常設展示だけで約3万5千点にも及ぶので、1日で全ての作品を鑑賞することは不可能な規模。


そしてルーブル美術館の建物自体も歴史的な価値があります。12世紀にフランス王フィリップ2世が要塞として「ルーヴル城」を築いたことが始まりとなり、その後も歴代のフランス王が宮殿として使用していました。


豆知識!

フランスの宮殿といえば誰もが「ヴェルサイユ宮殿」をイメージすると思いますが、17世紀にルイ14世ヴェルサイユ宮殿に移すまでの約500年間はルーブル宮殿が王宮とされていました。


王宮としての役割を終えたことから、フランスが所有する優れた美術品を展示する目的として1793年にルーブル美術館は誕生しましたが、年代から分かるようにフランス革命の後には既に完成していたことになります。


そのため、19世紀以降の近代美術以降に登場する印象派の巨匠ルノワールセザンヌなど有名な画家も我々と同じように、ルーブル美術館を訪れて作品から絵画技術を学んでおり、西洋美術の発展に大きく貢献しています。




ルーブル美術館の主要作品(絵画)

たくさんの鑑賞者で賑わうルーブル美術館



ここからはルーブル美術館に展示されている主要作品(絵画)を一挙に紹介します!


紹介する順番としては、作品と画家について理解を深めていただく為に、時代背景や師弟関係などの相関を考慮して掲載しています。


各時代における慣習や流行した芸術様式、作品に影響を与えた画家や師弟関係などの相関を考慮して紹介しているので、全体イメージを通して主要作品を理解していただけると幸いです。
※作品の制作時期については前後している場合もあります。


ルネサンス美術



ルネサンスとは、14世紀から16世紀頃にイタリアを中心にヨーロッパ全土に広がった、古典古代と呼ばれる古代ギリシャ・ローマ時代の華やかな芸術や文化の復興を目指した運動の総称です。


とくに、16世紀初頭にわずか30年ほど続いた「盛期ルネサンスと呼ばれる最も繁栄した時代には誰もが知る有名な画家が同時に活躍しており、ルネサンスに留まらず後の西洋美術に大きな影響を与えました。


ミケランジェロの作品は後述する彫刻・出土品ページで詳しく紹介します。


ルネサンス以前のゴシック絵画では、キリスト教が中心となった宗教画が大半であり、平面的でリアルとほど遠い画風でしたが、ルネサンス絵画は宗教画以外の作品も多く制作され、「バランスよく調和のとれた優美さ」が特徴で、写実的な技法や遠近法など多くの技術が発明され、芸術性が一気に高まりました。


また絵画技術の発展と同時に絵の具も進化したことで色彩が豊かに、そして主流がフレスコ画から油絵に移り変わった時代でもあります。




モナ・リザ(ラ・ジョコンダ)

厳重に展示されている『モナ・リザ』



まず最初に紹介するのは、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザで世界一有名な絵画として、ルーブル美術館の目玉作品!
※実際に世界で最も見られた芸術作品とされています。


あまりにも有名な絵画ですが、実は作品の制作経緯やモデルの女性の素性など未だに不明確で、多くの謎が残された作品でもあります。


多くの謎!?

・モデルの女性とはいったい誰なのか?!

肖像画にしては衣装が相応しくない?!

・作品を依頼した人物とモデル女性の関係性は?!

モナ・リザの微笑みリアルすぎる?!


モナ・リザはフランス語ではラ・ジョコンダと呼ばれており、フィレンツェの富豪フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻「リザ・グラルディーニ」がモデルの女性だとされていますが、「レオナルドの母親」もしくは「レオナルド自身」を重ね合わせて描かれているのではないかという説も存在します。


そして、モナ・リザは同時期の他の肖像画と見比べた際に大きな違いがあります!


肖像画といえば、王族や貴族階級の人々が自己顕示欲もあってか、豪華な衣装を身に纏って描かれることが一般的ですが、モナ・リザの女性は明らかに地味な服装です。


肖像画の人物を特定できる特徴的な描写もなく、地位や権力を誇示しているわけでもない為、肖像画が描かれた理由に大きな謎が残ります。


POINT

16世紀頃の肖像画は、モデルの身分や家柄、特徴を示す装飾が施されて、地位や権力を誇示するという意味合いがありました。


リザ夫人と直接の関係性がないメディチ家のジュリアーノ・デ・メディチモナ・リザの制作を依頼した人物とされていますが、『人妻』の肖像画をお願いする理由が全く見当たらない為、モナ・リザはデル・ジョコンドの「肖像画」ではなく、「貞節のある女性を普遍的に描いた」という説も有力視されています。
※二人は愛人関係にあったという説もあります。


このように多くの謎に包まれたモナ・リザですが、絵画自体が最高傑作とされており、レオナルドが完成させた、スフマートや空気遠近法は当時の最先端の絵画技法です。


POINT

  • スフマートとは、色彩の透明な層を上塗りすることによって深み、ボリュームや形状の認識を出す絵画技法のこと。

  • 空気遠近法とは、遠くのものは近くのものよりぼやけて見えることを利用した絵画技法のこと。



モナ・リザの絵画
Photo credit:The Musée du Louvre



モデルの女性をよく見ると分かりますが、顔の輪郭を線で描いてない為、写真のようにリアルで、まるで絵の中に人が入り込んでるかのよう。
※最新の研究によりレオナルドは部分的に最大15層にも及ぶ上塗りをされたことが判明しています。


そして口元に影があることでモナ・リザの微笑み』と呼ばれるように、うっすらと笑っている、どこか不気味さも感じられる表情に見えます。


またモデルの背後に描かれてある細い路地の曲線とモデル女性の髪の動きによる曲線、そして景色をボヤけた形に描くことで、絵画全体がバランスよく組み立てられています。


失礼ながら決して美人とは言えない女性の肖像画ですが、どこか人間離れしたような神秘的で神々しさも感じ取れます。


余談ですが、モナ・リザは未完成であり、レオナルドが死の間際まで繰り返し描き直した作品とされています。


レオナルドが絵画に込めた想い、そして多くの謎に包まれたミステリアスさも相まって、今日でも人々を魅了し続けている傑作です。




レオナルド・ダ・ヴィンチの他4作品

レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画『モナ・リザ』に群がる大勢の鑑賞者



天才レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452−1519)は完璧主義者で自分の納得できない作品は全て破棄したとの事で現存する絵画作品は15-20点ほどしかありません。
※真贋が確定していない作品も存在します。


そんな貴重な絵画ですが、ルーブル美術館は世界一の美術館の名にふさわしく、モナ・リザ以外に他に4点が展示されており全てが必見です!





■レオナルドの絵画『岩窟の聖母』

レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画「岩窟の聖母」



こちらはレオナルドが31歳の頃に描いた『岩窟の聖母』という作品で、サン・フランチェスコ・グランデ教会の礼拝堂に飾る祭壇画として制作されました。


ちなみに、全く同じ構図の絵画がもう1枚存在し、そちらはロンドンのナショラル・ギャラリーが所蔵しています。



なぜ2枚あるのか?!



理由は判明してませんが、依頼主との絵画に関するトラブルがあったとされており、最終的に後から制作されたロンドン版がサン・フランチェスコ・グランデ教会に飾られることになり、ルーブル版はフランスのフォンテンブロー城に最終的に飾られていました。


作品については、幼児キリストへの幼い洗礼者ヨハネの礼拝が主題となっており、左側の幼児(洗礼者ヨハネ)が右から2番目の幼児(イエス)に祈りを捧げている姿を描写しており、中央に聖母マリア、そして右側に天使が描かれています。


またモナ・リザと同様にスフマート技法が使用されており、本作がレオナルドによって最初に完成された作品とされています。





■レオナルドの絵画『ラ・ベル・フェロニエール』

レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画『ラ・ベル・フェロニエール』
Photo credit:The Musée du Louvre



こちらはレオナルドによる1490年から1496年頃に描かれた『ラ・ベル・フェロニエール』という作品で、日本語では「ミラノの貴婦人の肖像」とも呼ばれています。


元々、作品名は不明でしたが、17世紀に入りモデルの女性が金物商の娘もしくは妻と考えられたことから「美しき金物商」という意味のフランス語でラ・ベル・フェロニエールと名付けられています。


ちなみに!


宝石等の装飾が施された紐を頭に巻き付けたアクセサリーのことを現在でもフェロニエールと呼びますが、こちらの作品が由来となっています。


作品について、これまでレオナルドによる作品ではないとされてましたが、モナ・リザと同様にスフマート技法が部分的に使用されて描かれていることが判明し、20世紀に入り本物であると立証されています。





■レオナルドの絵画『聖アンナと聖母子』

レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画『聖アンナと聖母子』

 


こちらはレオナルドが1508年頃に制作した『聖アンナと聖母子』と呼ばれる絵画です。


幼子に手を伸ばす聖母マリアと幼児期のキリスト、そしてマリアの母親である聖アンナが描かれており、受難の象徴である子羊を手で触るイエスと、それを微笑ましくたしなめている美しい描写ですが、イエスが処刑される予兆を示唆した意図があるとされています。


POINT

イエス・キリストは「神の子羊」とも表現され、人間の贖罪に対してイエスが生贄となったことが由来です。


作品としては、よく見ると後方に写るアンナの右足やマリアの顔が描きかけとなっており、レオナルドが生涯にわたり手を加え続けた未完の作品となります。


聖家族をモチーフにした作品は同時期を代表する画家であるラファエロなど多くの画家が題材にしていますが、娘のマリアが母親のアンナの膝の上に座っている描写は不自然であり他に例は見られない為、なぜそのように描いたのか謎が残る作品の1つとなります。





■レオナルドの絵画『洗礼者ヨハネ

レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画『洗礼者ヨハネ』



こちらはレオナルドによって1513年から1516年頃に制作された『洗礼者ヨハネという絵画で、遺作となった最後の絵画です。


作品について、指を突き上げたポーズが挑発的に感じるかもしれませんが、右手で天を指すことで救世主イエスの誕生を告げています。


絵画全体が暗い背景で見えにくいですが、手に持った長い十字架とラクダの皮の衣服から洗礼者ヨハネと判別することができ、モナ・リザと同様の少し謎めいた微笑みは、スフマート技法の完成形とされています。


以上のモナ・リザを含めた5作品がルーブル美術館に展示されているレオナルド・ダ・ヴィンチの全作品となります。全ての作品が大変貴重であり、今後訪れる方は全て鑑賞されることをお勧めします。




デューラーの『アザミを持った自画像』

デューラーの絵画『アザミを持った自画像』
Photo credit:The Musée du Louvre



こちらは『アザミを持った自画像』と呼ばれる、ドイツを代表する有名画家アルブレヒト・デューラー(1471−1528)が1493年に制作した絵画です。


風景画と違って自画像は鑑賞する際に面白みが少ないかもしれませんが、デューラーの自画像は全てが必見!



デューラーは見ての通り、

めちゃめちゃイケメン!笑



私が知る限り、ナンバーワンです!!


豆知識!

西洋美術史において、作品として「自画像」を描いたのはデューラーが最初だと言われています。


これまでに画家本人が絵画の中に大勢の中で一部登場することはありましたが、画家単体で絵画として描かれた作品は前例がありません!


本作品はルネサンス絵画を学ぼうと海外修行でヴェネツィアに留学していた22歳の頃に描かれた自画像で、制作した経緯として大きく2つの有力説が考えられています。


1つめは、親が決めていた婚約者への贈り物として描かれた説で、手に持っているアザミには「夫の忠誠」という意味があり、結婚における男性の忠実さを象徴しています。


こちらの説が本当であれば、自画像を描いてプレゼントして婚約者に愛の忠誠を誓うなんて、許嫁からすれば嬉しいはず!
ただしイケメンに限る!笑


そして2つめは、画家としてのプライド、自己顕示欲を表現する目的で描いたのではないかと考えられています。


理由として、アザミ自体は「キリストの受難」を暗示する表象でもあり、自画像の上部に「わがことは天の定めのままに」とドイツ語で銘文が記されていることから、イエス・キリストの宿命と同じように自分自身も苦難の道を突き進む決意を表明していると考えられています。


22歳と血気盛んな時期に描かれた自画像であり、本人のナルシストぶりというか、画家としての誇りや自信に満ち溢れている感情をイエスに重ね合わせたようにも思えます。


誰の為に描いたのか、どのような想いで描いたのか、想像しながら鑑賞するとより楽しめると思います。


余談ですが、「自画像」といえばレンブラントも必見!!


彼はイケメンではありませんが、生涯に多くの自画像を描いたことでも知られており、今で言うコスプレの先駆けのような、様々な衣装を身にまとった作品も残されていて、とにかく楽しく鑑賞できます。


個人的に、デューラーレンブラントの自画像は必ず鑑賞されることをお勧めします。
ルーブルにはレンブラントの自画像も展示されています。




聖母子と幼き洗礼者聖ヨハネ

ラファエロの絵画『聖母子と幼き洗礼者聖ヨハネ』
Photo credit:The Musée du Louvre



こちらはラファエロ・サンティ(1483−1520)が1507年に制作した絵画『聖母子と幼き洗礼者聖ヨハネです。


元々は「農民の聖母」として王室コレクションに記されてましたが、18世紀に芸術愛好家ピエール・ジャン・マリエットの手引書において、「女庭師」と名付けられたこともあり、別名で『美しき女庭師』とも呼ばれています。


作品については、幼子イエス聖母マリアの膝に置かれた旧約聖書を取ろうとしてい様子が描かれていますが、聖書には自らの責苦が予告されていることから「受難の予兆」を表現しているとされています。


ラファエロは盛期ルネサンスの三大巨匠の一人ですが、同時代のレオナルドやミケランジェロよりも少し後に生まれたこともあり、本作においても二人の優れた絵画技法が取り入れられています。


先人の絵画技術を模倣、、、



言い方は悪いですが、

技術をパクって、ルネサンスの巨匠?!



そう思われたかもしれませんが、ラファエロの凄いところは単に真似をしただけではありません!


良い部分を上手く自分の作品に取り入れて昇華させたルネサンス様式の完成者』として高い評価を受けています。


メモ

年次を整理すると、レオナルドが35歳の頃にミケランジェロは12歳、そしてラファエロは生まれたばかりの4歳となります。そのためラファエロが画家として勉強していた頃には既に先輩方は名声を得ており、彼らの作品からも絵画技法を学びました。


本作においてはレオナルドが発明した、3人の人物を三角形で結ぶ形(ピラミッド構図)でバランスよく構成されており、またミケランジェロの影響からか、聖母子と聖ヨハネが戯れている姿を躍動的に表現されています。


絵画の鑑賞ポイントとして、聖母マリアのマントの裾に「Raphaello Urb」とラファエロの署名が、そしてマントの左ひじに近い部分には「MDVII」と製作年がローマ数字で記されているのでお見逃しなく。


ラファエロ『聖母の画家』と言われるほど、聖母を描かせたら右に出るものはいないと当時から言われていました。本作はその中でも彼の代表作となるのでルーブル美術館を訪れる方は必見です。




カナの婚礼

ヴェロネーゼの絵画『カナの婚礼』
Photo credit:The Musée du Louvre



こちらは『カナの婚礼』というパオロ・ヴェロネーゼ(1528−1588)による作品で、新約聖書ヨハネ福音書)ではイエス・キリストの初めて奇跡とされる、「瓶の中の水が葡萄酒(ワイン)に変わったエピソード」を題材としています。


「カナ」とは地名のことで、イエスは母親と共に結婚式に招待された客人であり多くの弟子たちが奇跡を目の当たりにして「神の子」と信じるきっかけとなった重要な場面がアレンジされた形で描かれています。



まず注目すべき点は、

絵画の巨大さ!



カナの婚礼はルーブル美術館で一番大きな絵画で、縦6.77m×幅9.94mもあります!!


元々は、ヴェネツィアのサン・ジョルジョ・マッジョーレ修道院の大食堂に飾るために依頼された為、壁画のような大きなサイズで制作されました。


そしてナポレオン1世が戦勝後に略奪した絵画の1つでしたが、あまりにも巨大な為にフランスに持ち帰るのに苦労し、絵画を2つに裁断して持ち運んだ後に修復したというエピソードが残っています。


また作品については婚礼の様子が描かれていますが、人物の数はなんと100名以上!


婚礼儀式の参加者は、聖人や当時絶大な権力を誇っていたヴェネツィア共和国の人々に置き換えて描かれており、豪華な服装や建物からは当時のヴェネチア共和国の栄華が垣間見える歴史的価値のある作品として、聖と俗をうまく融合させた傑作とされています。


最後に、描かれている人物に面白い発見が!


パオロ・ヴェロネーゼは「ティツィアーノ」や「ティントレット」と並んで、ルネサンス後期のヴェネツィアを代表する画家ですが、面白いことに、その二人とも正面のテーブルに描かれており、尊敬の意を表して作品に登場させたとされています。



ちなみに!?



結婚式の主役である「新郎新婦」は左の隅っこに追いやられており、この絵を見たら悲しみそうです!笑


カナの婚礼はルーブル美術館が最も大きな絵画であり、移動も容易ではないことから門外不出の作品として、ルーブル美術館を訪れる方は必見です。




マニエリスム美術



マニエリスムとは、16世紀初旬から16世紀後半にかけてのルネサンス美術とバロック美術の間にあたる、「後期ルネサンス」に誕生した、盛期ルネサンスの巨匠たちの手法を模倣しつつ、自然に忠実で写実的だったルネサンス様式からさらに自然を凌駕し発展させた芸術様式です。


絵画の特徴としては、人体描写の一部が引き延ばされたり、空間を歪ませて誇張させるなど、盛期ルネサンスの巨匠によって「完成された美」とされた調和の取れた自然さより、非写実的で不自然であっても絵画作品としての美しさを優先した奇抜な作品が多く生み出されました。


後期ルネサンスマニエリスム)の代表画家

  • ティントレット


盛期ルネサンスの三大巨匠のなかでも、ミケランジェロは享年88歳と長きにわたって芸術活動を続けましたが、晩年の作品はマニエリスムに大きな影響を与えたとされています。


また20世紀に入るまで、マニエリスムは巨匠の技法を模様しただけの衰退した退廃美術という認識をされていましたが、今日では巨匠の技法を模倣しつつ抽象的な新たな芸術様式を確立したとして高い評価を得ています。




四季

ジュゼッペ・アルチンボルドの絵画『四季』



こちらはイタリア画家のジュゼッペ・アルチンボルド(1526−1593)によって1573年に制作された絵画であり「春・夏・秋・冬」の4作品を総称して『四季』と呼ばれています。


ちなみに、オーストラリアにある美術史美術館には同じく連作である「四大元素」という作品が展示されており、「大地・大気・火・大地・水」とそれぞれ呼応しています。


アルチンボルドは植物や果物、野菜などで奇妙な肖像画を描いたことで知られてますが、本作は自然科学に強い関心を持っていたマクシミリアン2世への新年の贈り物として依頼されたとされています。


人物の顔部分だけでなく上半身までも季節ごとの植物や果物、野菜で描かれており、また希少種も含めて正しく写生されており、全てが実際に現存することが確認されています。


どの肖像画が春夏秋冬のどの季節に当てはまるのか、それぞれの絵画を見比べてみるとより楽しく鑑賞できるはずです。




ガブリエル・デストレとその妹

ガブリエル・デストレとその妹
Photo credit:The Musée du Louvre



こちらはフォンテーヌブロー派の画家により1594年頃に制作された『ガブリエル・デストレとその妹』で作者は不明です。


フォンテーヌブロー派とは、フランス・ルネサンス期に宮廷で活躍した画家のグループであり、本作はその中で最も有名な作品となります。


絵画について、美しい二人の美女が描かれてますが、右側の女性がガブリエル・デストレで左側の女性が妹のビヤール公爵夫人と考えられています。



同性愛を描いた禁断の作品??



ちょっとエロティックな絵画で目のやり場に困りますが、二人の仕草は単に戯れているわけではなく意味があります。


ガブリエルはアンリ4世の愛人であり、妹が右の乳首を指でつまんでますが、こちらはアンリ4世の子供を懐妊したことを、多くの子供を産めることを示唆していると考えられており、また左手で指輪を持つことで王と結婚することを望んでいる意思を表現していると解釈されています。


そして、奥に写る侍女はこれから生まれるであろう子供の為に産着を編んでいるとする説がこちらの解釈を裏付けています。


ちなみにアンリ4世には既に妻がおり、多くの愛人もいましたが、「寵妃ガブリエル」として、最も愛していた女性とされています。


最終的にガブリエルは4人の子供を妊娠し、アンリ4世も妻との結婚を無効にして再婚する算段があったとされてますが、悲しいことに4人目は死産し、ガブリエル自身もその後すぐに28歳という若さでこの世を去ります。
※再婚に反発していた側近によって毒殺された説も存在します。


アンリ4世は黒衣を着て喪に服し、王妃として弔ったとされており、フランス国王で愛妾にここまでの対応をしたのは異例中の異例です。


どれだけ愛していたか、うかがえるエピソードですが、アンリ4世はこの後にルーベンスの絵画で登場する「マリー・ド・メディシス」と政略結婚で再婚することになります。。。




聖母戴冠

ティントレットの絵画『聖母戴冠』



こちらはティントレット(1518−1594)が1575年〜1600年頃に制作した『聖母戴冠』です。


ルネサンス期のイタリアを代表する画家(ヴェネツィア派)として、ティツィアーノやヴェロネーゼ、そしてティントレットが知られていますが、ティントレットはティツィアーノの弟子にあたります。


作品について、聖母子を取り囲んでキリスト12使徒の姿が、そして下部には無数の聖人が描かれており、聖母マリアがキリストに冠を授ける様子を、天国をイメージしたような壮大なスケールで描いています。




バロック美術



バロック美術はマニエリスムと前後する16世紀末から18世紀初頭にかけて主流となった芸術様式であり、元々は16世紀に起きた宗教改革によってプロテスタントの台頭に焦りを感じたカトリック教会が信者を取り戻すため、劇的でインパクトのある作品を依頼したことから始まりました。


絵画の特徴としては、ダイナミックで臨場感のある動きや明暗を強調した作品が多く制作され、特に「光と影」の表現技法で多くの傑作が生み出されています。


バロック絵画の三大巨匠


上記の画家以外にもイタリアのカラヴァッジョやスペインのベラスケスもバロック絵画の巨匠として知られています。


またバロック美術ではキリスト教の布教を目的とした宗教画だけでなく、風景画や風俗画、肖像画など絵画の幅が広がった時代でもあります。




マリー・ド・メディシスの生涯

ルーベンスの絵画『サン=ドニの戴冠』



こちらの作品はピーテル・パウルルーベンス(1577−1640)がマリー・ド・メディシス本人より1621年に制作依頼された『マリー・ドゥ・メディシスの生涯』という24点の連作絵画のうちの1つ、『サン=ドニの戴冠』です。


フランドル絵画の巨匠ルーベンス『王の画家にして画家の王』と称されるほど、西洋美術史において最も成功した人物です。


日本では児童文学「フランダースの犬」の中で、画家を夢見ていた主人公ネロの憧れの人物として、ラストシーンに登場する教会の祭壇画「聖母被昇天」を描いた人物としても知られています。
※教会は実際に存在し、絵画は今も飾ってあります。


「マリー・ド・メディシスの生涯」のうち、3作品は肖像画で残りの21作品についてはマリー・ド・メディシス(1575−1642)のこれまでの重要な場面(誕生・結婚・統治など)が描かれています。


実際は享年67歳のマリーが46歳の頃に依頼した絵画であることから「半生」になります。


マリーは失礼ながら、世界史において無名であり、ある意味、こちらの「マリー・ド・メディシスの生涯」をルーベンスが制作したことで歴史に名を残しています。


マリーの生涯を簡単にお伝えしますが、結構、悲しい人生を歩んでいます。。


マリー・ド・メディシスフィレンツェの大貴族メディチ家の生まれで、政略結婚によってフランス王アンリ4世の妻となります。


イタリアからフランスに嫁いだこともあり結婚当初はフランス語はほとんど話せず、またアンリ4世は女好きで多くの愛人もいた為、孤独な日々を過ごしたとされています。


そして二人の間には後継者となるルイ13世が生まれたことで王宮での立場が好転したかに思えましたが、夫であるアンリ4世は狂信的なカトリック教徒により暗殺。


幼くして即位したルイ13世の摂政としてマリーは政治に関与しますが、善政して人気の高かったアンリ4世と違って大きな功績は一切ありません。そして国民からの信頼を獲得できず最後には息子のルイ13世とも対立しブロワ城に幽閉されることに。


その後、ルイ13世とは一時的に和解し1621年にルーベンスに本作を依頼しますが、最終的に1631年にフランスから追放となり、10年後の1641年にケルンで亡くなります。



以上が大まかなマリーの生涯ですが、

こちらの内容を作品にできますか??



特筆したことを何も残してなく、むしろ幽閉や国外追放されたりと悲劇的な人生です。


制作依頼を受けたルーベンスは既に有名画家として多くの顧客を獲得していましたが、事実に基づいて絵画を制作すればマリー・ド・メディシスないし宮廷から、政府に対する反逆者としての烙印を押されかねないうえに、事実と異なる絵画を制作した場合にも画家としての評価を下げる可能性があります。


マリー・ド・メディシスは24連作にもおよぶ超大作はルーベンスにしか描けないと考えて本人直々に依頼しましたが、ルーベンス自身は困惑したに違いません。。


結果的に、本作は多くの支持を得て「さすがは天才ルーベンス!」と更に名声を獲得できましたが、作品を鑑賞した際に我々も彼の素晴らしさを実感できます。


ルーベンスは画家として絵の才能はもちろん天才的ですが、古典的知識が豊富な人文主義学者でもあり、ローマ神話などの知識にも長けていた為、神話と重ね合わせた絵画を制作することで、王族・貴族の知的好奇心を刺激する作品を多数制作していました。


そして本作においても、事実に基づきながら王妃を神格化することで婉曲した壮大な絵画を作り上げています。


マリー本人も自分自身の生涯として、本作に満足できたはずであり、ルーベンスの天才画家としての地位は揺るがないものとなりました。


本記事では全作品を説明できないので、『マリー・ド・メディシスアンリ4世の代理結婚式』について面白いエピソードを交えて紹介します!



ルーベンスの絵画『マリー・ド・メディシスとアンリ4世の代理結婚式』
Photo credit:The Musée du Louvre



こちらの絵画にはマリーとアンリ4世代理人であり叔父のトスカーナ大公が描かれていますが、「代理結婚式」と題されるように、アンリ4世は新郎にも関わらず欠席しています。


結婚式なのにかわいそう!と思うかもしれませんが、アンリ4世はフランスの統治者であり、多忙なうえ国外に離れることも容易ではない為、代理結婚式はこの時代ではごく一般的でした。


そして、この作品にも神話が散りばめられており、マリーのドレスを右手に持ち、左手に結婚式の燭台を掲げている少年は古代の結婚の神ヒュメナイオスです。


ごく自然に描写されていますが、上手く神話を絵に取り入れています。



そしてもう一人、

マリーの後ろにいる男性に注目してください!



後ろの男性は大きな十字架を手に持って描かれていますが、何を隠そう、ルーベンス本人」です!!


こちらの代理結婚式は1600年にフィレンツェの大聖堂で行われましたが、ルーベンスはこの時期に古代と近代の巨匠の作品を学ぶためにイタリア留学をしており、ゴンザーガ公家に宮廷画家として仕えてたことから、実際に参列していました。


もちろん、この当時はマリーとルーベンスに接点はありませんが、この12年後にマリー本人から超大作を依頼されるとは、ルーベンス自身も思ってもみなかったはずです。


余談ですが、マリーの最期はルーベンスが幼い頃に一時的に住んでいた邸宅で亡くなっており、ルーベンスとマリーの数奇な運命を感じずにはいられません!


本作によって悲劇の王妃であるマリーは歴史に名を残してますが、彼女の生きた証を見事に美しく仕上げたルーベンスの大作は各作品エピソードを知ったうえで鑑賞するとより楽しめるはずです。


3枚の肖像画を含めて「全ての作品」がルーブル美術館リシュリュー翼3階にあるルーベンスの間」の壁一面に展示されてあり、それぞれの絵画のサイズも大きく、全て見応えあります。


ルーベンスについて興味のある方は、以下の記事で「聖母被昇天」だけでなくルーベンスのその他の絵画や邸宅などを紹介しているのでご参考に。





フランダースの犬に登場する名画も掲載しています!




レースを編む女

フェルメールの絵画『レースを編む女』



こちらの作品はヨハネス・フェルメール(1632−1675)によって1670年頃に制作された『レースを編む女』という絵画で代表作の1つです。


フェルメールバロック絵画の三大巨匠の一人ですが、彼は短命で43歳でこの世を去っており、生涯において多くの作品を残されてなく、現存する作品は30数点とその全てが大変貴重となります。


こちらは現存する作品の中で最も小さい絵画であり「縦24cm×横21cm」しかありませんが、見応え十分な作品です!


絵画については、タイトル通りモデルの女性が枕にレースを編んでいる様子が描かれてますが、当時としては画期的なテクニックが使用されています。



フェルメールの絵画『レースを編む女』の拡大



本作品を最初に見たとき、

女性の手元に注目されませんでしたか?


中央に女性がいるので当たり前に思うかもしれませんが、実は背景をボヤケたように”あえて”描いており、最も気づくポイントとして、手前の枕から出る糸が液体のように垂れて、鮮明には見えないはずです。


背景を抽象的に、最も注目させたい女性の手元を鮮明に描いて好対比させることで、カメラでピントを合わせたように鑑賞者の目線を向かわせるように緻密に計算されています。


そして本作品は天才ルノワールゴッホをも魅了した作品として知られており、ルノワール「世界で最も美しい絵画」と最大級の賛辞をしています!



さらに!?



奇抜な画家であり、ある種の問題児でもある天才サルバドール・ダリも本作品を高く評価しています。


彼のナルシストぶりからか、西洋美術で有名な画家を著書の中で勝手に自己採点しており、技術や独創性、天才性など全部で9項目と細かく採点したなかで、レオナルド・ダ・ヴィンチピカソなどを差し置いて、フェルメールに最高得点をつけています。


ダリの画風とは全く違うので個人的にかなり意外でした。。


むしろ自分自身を満点にすると思ったのですが、180点満点で控えめに148点と自己評価しており、フェルメールは180点満点でなんと179点!独創性のみ1点の減点で、あとは全て満点の評価です!!


ちなみに、レオナルドは166点でピカソは107点となり、ピカソについてはかなり見下してます。笑


とにかく、天才と呼ばれる多くの画家から称賛を受けているフェルメールの作品は全て見逃せません!




天文学者

フェルメールの絵画『天文学者』



こちらの作品は1つ前と同じくフェルメールが1668年頃に制作した天文学者です。


学者の肖像画は17世紀のオランダ絵画で好まれたテーマであり、フェルメールは本作品と同一人物を描いた「地理学者」という絵画も制作しており、こちらはドイツのシュテーデル美術館に展示されています。


作品について、学者のモデルは友人であり同郷のオランダ人科学者アントニ・ファン・レーウェンフックだと考えられており、彼自身は微生物学を専攻する博物学者です。


テーブルにある天球儀と天文測定に関する本が置かれてあることから天文学者として描かれてあることで間違いなく、本についてはアドリアーンスゾーン・メチウスの著書「星の研究と観察 」であることも判明しています。


本の開いてあるページは第三章の神の導きによって天文学者は真理を追求するという内容になり、また背景にある壁に掛かった絵画は「モーセの発見」でモーセエジプト人からあらゆる知識を学んだとされている人物です。


これらを総合的に考えると、単なる肖像画ではなく「科学と知識の象徴」として描かれているのではないかとされています。



フェルメールの絵画『天文学者』の拡大



絵画の見どころについては、当時純金と同じくらい高価だったラピスラズリを原料とするウルトラマリンを惜しげもなく使用しており、フェルメールブルーとも呼ばれる鮮やかな青色に注目してください。


また歴史を学んだ方はご存知の通り、17世紀後半の日本は鎖国時代ですが、当時のオランダは出島と貿易が行われていました。



そしてモデルが着用している服は、

実は日本の着物です!



正しくは日本の着物をガウン風にアレンジしたものですが、日本の着物はオシャレで目新しさもあり、知識層の間で流行っていたとのこと。


1つ前の「レースを編む女」と同じく小さい絵画になりますが、繊細で細かい部分まで丁寧に描写された本作品も見逃せません。




ダビデ王の手紙を手にしたバテシバの水浴

レンブラントの絵画『ダビデ王の手紙を手にしたバテシバの水浴』



こちらは先ほど紹介したフェルメールと同じく、バロック絵画の三大巨匠であるレンブラント・ファン・レイン(1606−1669)が1654年に制作されたダビデ王の手紙を手にしたバテシバの水浴』という代表作の1つで、「裸婦画の最高傑作」とされています。


レンブラント『光の画家』『光と影の魔術師』などの異名を持ち、本作品でも光の明暗で女性を官能的に描いています。


豆知識!

レンブラントの代表作『夜警』は世界三大絵画の1つに挙げられます。


作品については、サムエル記の中に登場するエピソードが題材にされています。


ダビデ王は自分の軍隊の兵士であったウリアの妻バテシバの水浴している姿を見初めて強引に関係を持ち、人妻と結婚する為に邪魔であったウリアを敵地に置き去りにして戦死させました。


そして本作品では、夫への貞節と王への服従のどちらを選ぶかという詰問が書かれた手紙を読んでバテシバが複雑な表情を浮かべている様子を描いています。


しかも妊娠させており、言葉通りの暴君です。。。


絵画については、裸婦画らしい官能的な美しさだけでなく、バテシバの内面の道徳的葛藤までも描き出したような、他の裸婦画とは一線を画した傑作として、レンブラントを不動の地位へと押し上げました。


近代美術を代表する、マネやドガピカソなど後世の画家にも多大な影響を与えた作品は今日でも多くの人々を魅了しています。




大工聖ヨセフ

ラ・トゥールの絵画『大工聖ヨセフ』



こちらは『大工の聖ヨセフ』という作品で、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593−1652)によって1640年頃に制作された絵画であり代表作の1つです。


メモ

ウィキペディアにある画家紹介のメイン画像にも選出されています。



ラ・トゥール「夜の画家」とも称される人物で、明暗の対比を強調した画風で知られており、また単純化・平面化された構図を好んで描いた画家です。


作品については、イエスの父である大工のヨセフが働いている姿を幼子イエスが明かりを照らして手伝っている様子が描かれています。


豆知識!

聖母マリアは受胎告知により処女のままイエスを生んだとされているので、ヨセフは「義理の父親」となります。


絵画全体は暗闇に覆われてますが、イエスが持つ1本のろうそくの炎が神々しくも幻想的な雰囲気を醸し出しており、「夜の画家」と言われる所以が垣間見える作品です。


絵画の見どころとして、イエスの指の隙間からも光が漏れている様子が的確に描写されているので、近づいて鑑賞することをお勧めします。




ダイヤのエースを持ついかさま師

ラ・トゥールの絵画『ダイヤのエースを持ついかさま師』



こちらは『ダイヤのエースを持ついかさま師』という作品で、1つ前に紹介したラ・トゥールによって1635年頃に制作された絵画であり、同じく代表作です。


絵画について、中央の女性の表情や左側の後ろにカードを隠しもっている男性の他人を欺こうとする表情が、ギャンブルの駆け引きを見事に表現しており、緊張感まで伝わってきます。


ちなみに、実は同じ構図の作品がもう1枚現存します。


アメリカにあるキンベル美術館が所蔵している作品は、いかさま師の持つトランプの図柄がダイヤでなくクラブとなっており、「クラブのエースを持ついかさま師」と名付けられています。


彼の作品と真贋がはっきり判明している絵画は40点ほどしかありませんが、ルーブル美術館には他に「悔悛するマグダラのマリア」や「羊飼いの礼拝」も展示されているので、ラ・トゥール作品に興味のある方はお見逃しなく。




エビ足の少年

ホセ・デ・リベーラの代表作『エビ足の少年』



こちらは『エビ足の少年』という1642年に制作された、スペイン黄金時代の画家であるホセ・デ・リベーラ(1591−1652)の代表作です。


作品について、少年の右足は踵が地面に付かない「エビ足」で描かれており、同時に杖を持っていることで障害を抱えていることが一目瞭然ですが、少年は不自由さがあるにも関わらず笑顔で正面を向いており、暗い印象には感じられません。


また左手には物乞いの許可証を持っており、ラテン語「神の愛のために私に施しを」という意味となり、リベーラは少年を忠実に描くことで風俗画として制作しただけでなく、カトリック教徒に対して慈善を促す意図も持たせていると考えられています。


他の作品を含めて、人物を美化せずに醜い部分までも描写した画風は、バロック期のイタリア人画家であるカラヴァッジョから学んだ影響が大いに反映されています。




ロココ美術



ロココ美術は18世紀初頭から18世紀後半にかけてフランスを中心に発展した芸術様式であり、優美で繊細な作品が多く生み出されました。


絵画の特徴としては、柔らかいタッチで色鮮やかに、そして美しい女性が可憐でときには官能的に描かれるなど、以前のバロック美術の豪華さや重厚感のあるダイナミックな絵画から一変した、甘美な世界観でとにかく美しい作品が印象的です。


ロココ絵画の三大巨匠

  • アントワーヌ・ヴァトー


フランソワ・ブーシェのみ本記事で紹介しますが、残る2名の絵画もルーブル美術館には展示されています。




水浴のディアナ

フランソワ・ブーシェの絵画『水浴のディアナ』
Photo credit:The Musée du Louvre



こちらはロココを代表する画家であるフランソワ・ブーシェ(1703−1770)が1742年に制作した『水浴のディアナ』という絵画で、ギリシア神話の狩猟の女神ディアナ(右側の女性)が水浴する姿を描いた作品です。


作品について、狩猟後に癒やしを求めて水浴している情景であり、ディアナの側には弓や仕留めたウサギや鳥が描かれて、また左側の女性の侍女が狩りで痛めたであろう足を見つめている様子をロココ美術らしく全体的に美しく官能的に描いています。


水浴のディアナは後の新古典主義の時代には軽薄な絵画であると批判的に受け取られましたが、更に後に訪れる、印象派が台頭する時代には評価が見直され、印象派を代表するマネやルノワールも影響を受けたとされています。




新古典主義



新古典主義とは、18世紀中頃から19世紀初期にかけてフランスを中心にヨーロッパ全土に広がった芸術様式であり、フランス革命によって宮廷や貴族が没落したことで、これまでの優美で華のあったロココ美術を見直す動きが起こりました。


絵画としての特徴は、ルネサンスと同様に古典古代に回帰した自然で写実的な形式美を重視し、また本来の色彩で曲線を多用しない、直線的で厳格な印象を与える描写がされています。


新古典主義の代表画家

  • ドミニク・アングル

  • フランソワ・ジェラール


フランス革命が終わりナポレオン1世が実権を握っていた時代には皇帝としての正当性を担保する権威を示した絵画や肖像画も描かれており、歴史的に価値のある作品も多く残されています。




ナポレオン1世戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠

ナポレオン1世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠



こちらはナポレオン1世戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠』という、フランス新古典主義の巨匠であり、ナポレオン1世の主席画家でもあったジャック・ルイ・ダヴィッド(1748−1825)によって描かれたルーブル美術館で2番目に大きな絵画で、サイズは縦621cm × 横979cmと超大作。


作品はナポレオンが1804年にパリのノートル・ダム大聖堂で皇帝に就任する戴冠式の様子が描かれており、総勢150名にも及ぶ参列者の視線がナポレオンに向かうような構図を取っています。


実際の出来事をもとに描かれていますが、当時35歳だったナポレオンを見た目より若く描かれており、身長や体型も現代風に言うと盛っています。


皇帝よりキリスト教会のトップであるローマ教皇の方が位は高くなりますが、妻のジョゼフィーヌに冠を授ける際には礼儀に反して背中を向けており、実際にはありえません。


それ以外にもナポレオンの母親が絵の中央上部で背もたれ付きの椅子に座って描かれていますが、ジョゼフィーヌを嫌っていたことから戴冠式をボイコットしており、実際には欠席しています。


巨大な作品からも分かるように、それら脚色した理由はナポレオン自身の威厳をフランス内外に知らしめる為であったとされており、史実と異なる部分を含めてナポレオン自身が制作を依頼した歴史的価値のあるフランスを代表する絵画の1つです。


ちなみに、画家のダヴィッドについて知らない方も多いと思いますが、ナポレオン1世を描いた絵画として最も有名な「ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト」を描いた人物です。



オーストリアベルヴェデーレ宮殿に展示

ベルヴェデーレ宮殿にある絵画『ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト』



ナポレオンお抱えの画家として重宝されてましたが、本人も狂人的な性格でナポレオンに心酔しており、彼の描いた大半の絵画はナポレオンの容姿を美化しており、我々が美男子だったと誤解を招くことにも。。


ナポレオンに関する知られた逸話ですが、本人は写真嫌いでかつ容姿も醜かったとされています。


余談ですが、
「ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト」は全部で5バージョンあり、元々はスペイン王が同盟国の盟主であったナポレオンにお礼の品として制作を依頼しましたが、受け取ったナポレオンは絵を大変気に入り、3枚はナポレオン自身が依頼者です。


そして残る1枚は、なんと画家ダヴィット本人が「自分用」に描きました!


ナポレオン1世に対してどれほど心酔していたか、うかがえるエピソードかと思います。




グランド・オダリスク

ドミニク・アングルの絵画『グランド・オダリスク』



こちらは『グランド・オダリスクという、ドミニク・アングル(1780−1867)が1814年に制作した代表作であり、かの有名なナポレオン1世の妹のナポリ王妃が依頼した作品です。


現在でも男が多数の女性を侍らかしている様子をハーレムという言葉で表現しますが、題名のオダリスクとは、ハーレムの語源となったオスマン帝国における皇帝スルターンが宮廷の出入り禁止の場所で奉仕させていた、美しい女性(奴隷)のことであり、当時の王族・貴族は多くの愛人を抱えており題材として多くの絵画に登場します。


作品については、裸の女性が後ろ向きに横たわっていて、個人的に美しい絵画だと感じましたが皆さんはどこか、おかしな点に気づきましたでしょうか?



パッと見たときに気付いたかもしれませんが、

女性の背中が長く感じませんか??



女性の身体の骨格や不自然なポーズから、実は発表当時はかなり批判的な意見が多く、全く評価されませんでした。


近年、解剖学的にも有り得ないとの烙印を押されましたが、アングルは模写が下手だったわけではなく(むしろ得意だった)、敢えてリアリズムを欠如させることで自然を凌駕した、本人の美意識そして芸術性をより持たせる形で描いた為とされています。


POINT

アングルは小さい頃から神童として絵画の才能に秀でており、先ほど紹介したナポレオンの戴冠式を制作した「ジャック・ルイ・ダヴィッド」の弟子として、新古典主義を継承した人物です。


本作を発表したことで絵画への批判だけでなく、アングル自身の評価も下がり、息苦しいフランスからイタリアに移り住んで絵画制作をしていましたが、数十年後に戻った際には師匠のダヴィッドも死去しており、また巨匠と言われる存在が空白となっていたことも影響し、フランス絵画の重鎮としてのポジションを担っていくことになります。




トルコ風呂

アングルの絵画『トルコ風呂』
Photo credit:The Musée du Louvre



こちらは1つ前で紹介したアングル1862年に制作された『トルコ風呂』という晩年の作品です。


元々は四角形の絵画でしたが、翌年に本人によって丸形の枠に合うように変更されたことで、浴場を覗き見しているような錯覚を感じさせる作品になっています。


アングルは裸体を多く描いた画家ですが、面白いことに、こちらの絵画は批判を浴びせられた頃に描いた「ヴァルパンソンの浴女」という作品で描かれた女性が同じモチーフで登場しています。



アングルの絵画『ヴァルパンソンの浴女』
Photo credit:The Musée du Louvre

ルーブル美術館に「ヴァルパンソンの浴女」も展示されています。



この作品が発表された頃はロマン主義絵画の巨匠としてだけでなく、レジオンドヌール勲章を授与に始まりフランス・アカデミーの院長としての権威もあり、名声が確立していたことで表立って批判されることはなく、存命中に名誉を回復させることに成功しました。


アングルの執念ともいうべきか、世間から力づくで評価を勝ち取った作品でもあります。




ロマン主義



ロマン主義とは、18世紀後半から19世紀前半頃に誕生した新古典主義と対となる芸術様式であり、統一性を重視せずに画家自身が主観的に自由な発想で描いた作品が多く誕生しました。



絵画としての特徴は、新古典主義のような格調高い絵画と相反し、社会への反発や興味関心のある主題など画家自身の欲求を満たす、メッセージ性の強い作品が主に描かれました。



新古典主義では芸術的自由が抑圧されているという反発から誕生したこともあり、画家自身の感情を込めた作品は民衆からも多くの支持を獲得し、後の写実主義における絵画に大きな影響を残しました。




民衆を率いる自由の女神

ドラクロワの絵画『民衆を率いる自由の女神』



こちらは『民衆を率いる自由の女神という作品で、ロマン主義における最も有名な絵画であり巨匠ウジェーヌ・ドラクロワ(1798−1863)の代表作です。


よく混合されがちですが、フランス革命ではなく、革命後に起きた王政復古に民衆が反発して蜂起した1830年の「7月革命」を題材とした作品となります。


フランス国旗を掲げて先導する服のはだけた女性が特に印象的な絵画ですが、実在する人物ではなく自由の女神をイメージして描かれており、また絵画全体にフランス国旗色でもある「青・白・赤」が至るところに使用されています。


豆知識!

青・白・赤の三色旗(トリコロール)は「自由・平等・博愛」を表しています。


面白いことに、ドラクロワは7月革命に参加しなかったにも関わらず、絵画に登場する、銃を手に持ったシルクハット帽子の男性は画家本人であるとされています。


参加できなかった代わりに祖国への想いを込めて制作したとされていますが、民衆の自由への闘争を力強く表現したこちらの作品はフランス絵画における傑作として高い評価を受けています。


余談ですが、前の時代の新古典主義の巨匠アングルは長い間、世間から評価を受けませんでしたが、ドラクロワに対して強烈なライバル意識を持っていたことで知られています。


そのため、アングルの絵画で紹介した「王立美術アカデミー」への入会をドラクロワはアングルによって拒否され続け、最終的にメンバーに加入したのは61歳の頃となり20代で一流の画家として注目されていたドラクロワに嫉妬していたとされています。




メデューズ号の筏

テオドール・ジェリコーの絵画「メデューズ号の筏」



こちらはメデューズ号の筏という、テオドール・ジェリコー1791−1824)の代表作で、1816年にセネガル沖で実際に起こった座礁事故を描いています。


ジェリコーロマン主義の先駆的存在であり、人間の本質を写実的に
描く技術の優れた画家です。


メデューズ号は客船ではなくフランス海軍の軍艦で、乗員400名のうち救命艇に乗れなかった約150名が筏を作って漂流し、最終的に15名のみが助かったと記録されています。



作品として特筆すべき点は、

なんといっても絵画の巨大さ!



こちらは縦491×横716cmもあり、人物は実物大で描かれています。


当時はまだ歴史や宗教的な絵画が主流だった時代であり、題材として不適切でかつ、ジェリコーの写実的な絵画は生々しすぎると発表当時は多くの批判を受けましたが、後年になって人物の様相から「希望と絶望を絶妙に表現した傑作」として高い評価を受けています。


また先ほど紹介したドラクロワの作品にも影響を与えたとされています。




ルーブル美術館の主要作品(彫刻・出土品)



ここからはルーブル美術館に展示されている主要作品(彫刻・出土品)を一挙に紹介します!


美術館では絵画に重きを置くかと思いますが、ルーブル美術館には誰もが知る作品が多く展示されているので、本記事では最低限押さえておくべき作品のみ、エピソード付きで掲載しています。




書記座像

書記座像



こちらは『書記座像』という坐像で、紀元前2600−2350年頃に制作されたとされる、古代エジプトの都であったメンフィスの西に位置するサッカラの墳墓で発掘されました。


まず、今から約4000年以上も前の作品ということに驚かされます。


誰が制作したのか、誰がモデルなのか不明となりますが、高さ54cmほどの石灰岩と化粧漆喰による彫刻は眼球に水晶が使われるなど、かなり凝った造りをしています。


足元にはパピルスを広げており、古代エジプトでは読み書きのできる身分が高い人でないと書記になれなかった為、高尚な人物であることは間違いないなさそうです。
※手には筆を持っていたとされています。


新たな発見次第ですが、古代エジプトの出土品として歴史的価値もあり、非常に貴重な作品です。




ハンムラビ法典

Code of Hammurabiハンムラビ法典の拡大
Photo credit:The Musée du Louvre



こちらは紀元前18世紀頃にバビロニアを統治したハンムラビ王によって発布されたハンムラビ法典が記された石碑です。


「目には目を、歯には歯を」というフレーズを一度は聞いたことがあるかと思います。


やられたらやり返せという「報復」のイメージを持っているかもしれませんが、実際は「やられた以上のことをしてはいけない」という抑制を促した意味となります。


石碑には社会の混乱を防ぐために、日常生活に関することから農業や行政の権利、そして結婚・相続など約300の法律と罰則が規定されており、当時を知る上でも大変貴重な資料となります。


ちなみに学校で習ったと思いますが、今から約3800年前はメソポタミア文明の時代となり、法典は「楔形文字」で記されています。




ミロのヴィーナス(アフロディーテ)

ミロのヴィーナス(アフロディーテ)の彫像



こちらは紀元前2世紀末に制作されたヘレニズム文化の傑作『ミロのヴィーナス』の彫刻で、ルーブル美術館においても代表作の1つです。


制作者は台座に彫られていた名前からアンティオキアのアレクサンドロスとされてますが、正確なことは判明していません。


1820年エーゲ海のミロス島で発見されたことで『ミロのヴィーナス』と名付けられ、一般的に馴染み深いと思いますが、ヴィーナスのラテン語読みであるアフロディーテが正式名称となり、ギリシャ神話における「愛と美の女神の像」となります。


愛と美の女神の名前通り、美しいプロポーションで人々を魅了してますが、偶然なのか上半身と下半身のバランスは自然界における美の「黄金比」(1:1.61)となっているとの事。


また発見当時から両腕が見つからず実際のポーズについて分かっていませんが、この不完全な姿がより美しさを際立たせているとも言われています。


貴重な作品ですが、ルーブル美術館では展示方法に工夫を凝らしており、「360度」様々な角度から「美」を堪能することができます!




サモトラケのニケ

サモトラケのニケの彫像



こちらは紀元前190年頃の作品とされるサモトラケのニケの彫像であり、ミロのヴィーナスと同じく、ヘレニズム美術の最高傑作とされています。
※作者は不明です


ニケとはギリシャ神話に登場する「勝利の女神」のことで、北エーゲ海サモトラケ島で発見されたことからサモトラケのニケと名付けられています。


豆知識!

ナイキ(NIKE)の社名の由来でもあり、ロゴマークは翼をデザイン化したものです。


作品としては、元々は海が見下ろせる神殿に配置されていたと考えられおり、ニケは台座である船首に立ち、大きな翼を広げて風を受けている様子をなびいた衣服で表現しています。


発見された際に右側の翼は見つからず、左側のオリジナルを反転させた複製を取り付けているので、実際に訪れて記念撮影する場合は「左側の翼から撮る」ことをオススメします!




瀕死の奴隷

ミケランジェロの彫像『瀕死の奴隷』
Photo credit:The Musée du Louvre



こちらは『瀕死の奴隷』という作品でミケランジェロ・ブオナローティ(1475−1564)によって1513年から1516年の間に制作された彫刻です。


ルネサンス美術の紹介ページで説明しましたが、ミケランジェロは盛期ルネサンスの三大巨匠の一人であり、絵画の才能はもちろん、特に彫刻や建築に秀でた芸術家として知られています。


こちらの彫刻は教皇ユリウス2世の墓廟に飾るために制作されましたが、計画は途中で頓挫。制作された6つの彫刻のうち、2つの奴隷像はルーブル美術館に、残りの4体はアカデミア美術館に展示されています。


作品については、制作過程で生まれるノミの削り跡が残っていることから未完成とされていますが、これから安らかな眠りにつく様子が見事に表現されています。


また、奴隷の側には猿が彫られており、同じ表情を浮かべているので是非、見て確認してください。




抵抗する奴隷

ミケランジェロの彫像『抵抗する奴隷』
Photo credit:The Musée du Louvre



こちらは先ほど紹介した、ミケランジェロの『瀕死の奴隷』と同じく、教皇ユリウス2世の墓廟に飾るために制作されたうちの1つで『抵抗する奴隷』という作品です。


作品については、『瀕死の奴隷』と対をなしており、死から逃れるために必死に足掻いている様子が描写されています。


筋肉質で躍動感のあるポーズなどミケランジェロらしさが表現されており、こちらの作品も高い評価を得ています。




ルーブル美術館の施設情報

ルーブル美術館の館内の様子



こちらでは、ルーブル美術館の施設情報を紹介します。
※2021年7月時点の情報です。


実際の情報と異なる場合もあるので、これから訪れる予定の方は公式サイトでも確認することをお忘れなく。



■住所
Rue de Rivoli, 75001 Paris, France(Google マップ


■営業時間

毎日(火曜休館):午前9時〜午後6時
※現在夜間の営業は実施していません。


■定休日

毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日


■入場料

大人:15ユーロ
18歳未満:無料

ミュージアムパス使用可能、事前に入館時間をオンラインで要指定。


■オーディオガイド

ニンテンドー3DS:5ユーロ
※パスポートと引き換えとなります。
※日本語対応、GPS(位置情報)対応。

スマホアプリ(一部有料)もありますが、ダウンロード容量も大きく操作性も悪いのでニンテンドー3DSの利用をお勧めします。


■荷物預かり

コインロッカー:無料
※ナポレオン・ホールとポルト・デ・リオン入口にあります。


■公式サイト

Louvre Museum Official Website
(日本語対応)


■注意事項


  • ルーブル美術館ではスリが多発しています。貴重品はロッカーに預けることをお勧めします。
  • コロナ禍に伴い営業時間が変更しています。営業時間や入場料について詳しい情報は公式サイトで確認してください。




主要作品のお勧めの鑑賞ルート

ルーブル美術館の館内の様子



こちらでは今後パリ観光でルーブル美術館を訪れる予定の方にお勧めの鑑賞方法について紹介します!


まず前提として、早朝から訪れてください!!


最優先で訪れて!


モナ・リザサモトラケのニケ ⇨ ミロのヴィーナス


上記の3作品はルーブル美術館で「必ず」混雑します!



特に「モナ・リザ」は大行列となるので、1番最初に訪れるのがベスト!!


また「モナ・リザ」と同じ部屋には本記事で紹介した「カナの婚礼」は展示されているので同時に鑑賞できますが、それ以外の作品は後回しにした方が良いです。


理由は単純!


ルーブル美術館ではカメラ撮影が可能で、おそらくですが誰もが「記念写真」を撮りたいはず。※撮影は動画もOK、フラッシュは禁止。


サモトラケのニケ」や「ミロのヴィーナス」も毎回混雑しますが、彫像は360度どこからでも鑑賞できるように展示されているので混雑時に訪れると、他の観光客が間違いなく写り込みます。


別に記念撮影されない方、人が写り込んでも問題ない方は「モナ・リザ」のみ優先でも良いですが、私と同じ考え方の方は早朝に真っ先に訪れることをお勧めします。


ちなみに、上記3作品だけを訪れた場合の所要時間は入場の待ち時間も含めて、約1時間は必要です。


早朝から入場する観光客も他の美術館に比べて大勢いますが、昼過ぎや夕方に訪れる場合だと、おそらく鑑賞するだけでも行列ができて、2時間は掛かります。


そのため効率性を考えても早朝になるべく訪れた方が賢明です!


そして、その他の作品を効率よく鑑賞する方法として、入場後に「館内マップ」を入手してください!


館内マップには主要作品が写真付きで紹介されています!



実は!?



ルーブル美術館の作品は定期的に配置が変更されます。


最新の情報でないと展示場所が変わって見つからない場合もあるので、館内マップに鑑賞したい作品をあらかじめ印をつけておくと見逃さずに済みます。


また作品が見当たらない場合は、「館内スタッフ」に聞くのが一番です!笑


お勧めの鑑賞ルートと言えないかもしれませんが、スタッフは誰よりも作品の配置を把握しているので、先に聞いて場所を把握すると同じ場所を何度も訪れる手間が省けます。


英語もフランス語も話せないと不安かもしれませんが、館内マップと作品名があれば、単語を伝えるだけで十分伝わるはずです。


ちょっとアナログに感じるかもしれませんが、最も効率的に鑑賞できる方法で間違いないと自信を持って断言します!




まとめ:ルーブル美術館の主要作品30選|エピソード付きで完全網羅!

ルーブル美術館の中庭



本日はルーブル美術館の主要作品30選として紹介しましたが、有名な画家の代表作が数多く展示されています。


絵画に関するエピソードも含めて紹介したので記事のボリュームが多くなりましたが、少しでも各作品に対する理解を深めていただけるようにまとめました。


「美しい絵画」「傑作」は観る者すべてを魅了する作品ですが、単に素晴らしい絵画として捉えるだけでなく、絵画が制作された意図や背景を知ることでより絵画を楽しめるのではないでしょうか。


ルーブル美術館は世界3大美術館の筆頭であり、他にも多くの素晴らしい絵画が展示されています。


冒頭でもお伝えたしたように、常設展示だけで約3万5千点も展示されているので全てを紹介することは不可能です。。


本サイトは旅記事をメインとしているので旅行者向けに最低限、鑑賞してほしい必見作品として紹介しています。


名作を網羅しているので、「あの時、鑑賞しておけば良かった!」と後悔しないはず!!


参考までに、

私は上記の作品すべてを約3時間半で鑑賞しました!


入館時刻の午前9時前に到着して30分待ったので、実質は計4時間です。


早朝スタートだったこともあり、モナ・リザとも念願のご対面!


モナ・リザと記念撮影



有名作品については記念写真もがっつり撮って、また他に気になった絵画やエジプト文明のミイラに古代ギリシャ時代の彫刻、そして豪華絢爛な「ナポレオン3世の居室」なども訪れています。



短時間でも訪れる価値はありますが、個人的には4,5時間ほど時間を確保してゆっくり鑑賞することをお勧めします!


最後に、パリ観光については私自身が実際に旅行した全てを旅行記として公開しているので気になる方はご参考に!!



というわけで本日は以上です。


ルーブル美術館の主要作品に少しでも理解が深まったなら幸いです。


最後まで読んでいただきありがとうございました!




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