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アルテ・ピナコテークの主要作品20選|名画を完全網羅!

ミュンヘンを代表する美術館として、古典絵画の「アルテ・ピナコテーク」と近代絵画の「ノイエ・ピナコテーク」、そして現代アートの「ピナコテーク・デア・モデルネ」(モダン・ピナコテーク)の3つがあります。


本記事では古典絵画や宗教画を多く所蔵する、アルテ・ピナコテークをご紹介します。


所蔵されている主要作品をエピソード付きで完全網羅しています。古典絵画に興味のある方、今後訪れる予定の方の参考になれば幸いです。



アルテ・ピナコテークについて

アルテ・ピナコテークの外観


アルテ・ピナコテークはバイエルン王家ヴィッテルスバッハ家の所蔵品を一般市民に公開する目的で作られた国立美術館であり、14世紀から18世紀までのヨーロッパ絵画の名作が数多く展示されています。


美術館の名称にある、「アルテ」は旧絵画や古典、そして「ピナコテーク」は絵画の収蔵所という意味になります。


作品はテーマや国ごとに部屋を分けて展示されているので、本記事においてもテーマを分けて紹介します。


アルテピナコテークの主要作品



世界の6大美術館に選ばれるだけあり、デューラー、ルーベンス、ラファエロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、レンブラント等の主要作品が一堂に会しています。


そのなかでも特に見逃せない絵画を20作品、厳選しました。


ドイツ絵画



自国を代表する画家としてデューラーの作品は必見です。自画像は数多く残されていますが、アルテ・ピナコテークに展示されている自画像が最も有名であり、代表作。そして、美術館にまつわるエピソードとして、アルトドルファーの『アレクサンダー大王の戦い』も見逃さないでください。


デューラーの『自画像』(1500)

デューラーの『自画像』
デューラーの『自画像』


こちらは1500年に制作された自画像です。他の画家による自画像と見比べると大きな違いがあり、本人が真正面を向いています。当時の自画像では横向きに描かれることが通常であり、正面を向いて描かれる人物は「イエス・キリストの肖像画以外にない」為、異例なことでした。その点からも先駆的な絵画であり、かつ敢えてイエス・キリストに自身を重ね合わせていると考えられています。


また画像だと見えにくいですが、絵画の中には文字が刻まれています。


デューラーのサイン


こちらは、「それゆえわたくし、ニュルンベルク生まれのアルブレヒト・デューラーは28の年に消えることのない色彩でもって自分自身を描いた」という内容になり、絵画からも誇らしげな表情や繊細な指先を通して、デューラーの自信に満ち溢れた感情が伝わってきます。


デューラーの『四人の使徒』

 デューラーの『四人の使徒』
デューラーの『四人の使徒』


こちらはデューラーによって晩年に制作された作品です。注文があって制作されたわけでなく、生まれ故郷ニュルンベルクの市参事会に自主制作して寄付されています。4名の使徒は左からヨハネ、ペテロ、マルコ、パウロとなり、風貌や色彩で「人間の四気質」を表しています。

ヨハネ:多血質(楽天的)
ペテロ:黄胆汁質(短気)
マルコ:粘液質(鈍重)
パウロ:黒胆汁質(憂鬱)


それぞれの人物の特徴からデューラーの意図を読み取ることができます。イエス・キリストの一番弟子である、カトリック教において初代教皇を務めたペトロは絵画の中ではヨハネの背後で目立たない立ち位置に描かれています。


その理由については少し長くなるので、別記事で紹介します。
気になる方はチェックしてください。


アルブレヒト・アルトドルファーの『アレクサンダー大王の戦い』

アルブレヒト・アルトドルファー『アレクサンダー大王の戦い』(The Battle of Issus)
アルブレヒト・アルトドルファーの『アレクサンダー大王の戦い』


この作品は大勢の兵士が緻密に描写されており、絵画としての技法にも目を見張るものがありますが、アルテ・ピナコテーク開館にまつわるエピソードが特に見逃せないポイントです。


アルテ・ピナコテークは世界的にも有数の美術館となりますがが、元々は16世紀に大公ヴィルヘルム4世が王宮に飾るための絵画を注文した事がヴィッテルスバッハ家による絵画収集の始まりであったとされています。


そして、その時に注文された作品が『アレクサンダー大王の戦い』です。


つまり、アルテ・ピナコテーク所蔵の第一号になります。話のネタにもなりそうなエピソードなので是非、お見逃しなく。


イタリア絵画



イタリア絵画で押さえておきたい画家は、『ルネサンスの三大巨匠』と言われる、ラファエロ・サンティ、そしてレオナルド・ダ・ヴィンチ。


特にレオナルド・ダ・ヴィンチの作品は消失したものが多く、大変貴重です。
※ちなみに三大巨匠のもう一人はミケランジェロ。


ラファエロの『カニジャーニの聖家族』

ラファエロの『カニジャーニの聖家族』
ラファエロの『カニジャーニの聖家族』


鮮やかな色彩と人物が三角形となる構図のバランスによってイエス・キリストを際立たせる技術が用いられています。


記される配置としては珍しく、聖母マリアの衣服の胸元に「RAPHAEL URBINAS(ウルビーノのラファエロ・サンティ)」と画家のサインが残されています。鑑賞される際はお忘れずに。


ラファエロの『テンピの聖母』(The Tempi Madonna)

ラファエロの『テンピの聖母』(The Tempi Madonna)
ラファエロの『テンピの聖母』(The Tempi Madonna)


こちらもラファエロの作品となりますが、『聖母の画家』の名の通り、聖母を描かせたら右に出るものはいないと当時から言われていました。「テンピ」とタイトルに付けられている理由は、テンピ家に依頼されて描かれた聖母となることからです。


レオナルド・ダ・ヴィンチの『カーネーションを持つ聖母』

レオナルド・ダ・ヴィンチの『カーネーションを持つ聖母』
レオナルド・ダ・ヴィンチの『カーネーションを持つ聖母』


レオナルド・ダ・ヴィンチもまた聖母を描かれていますが、素描ではなく油彩で残されている絵画は大変貴重です。聖母マリアの背景に窓が描かれており、その窓から見える景色に注目してください。


カーネーションを持つ聖母とモナリザ


窓枠から見える景色は、「モナリザ」で描かれている景色と同じであり、ぼかし技法のスフマートも確認することができます。


フランドル絵画

フランドル地方とは、ブルゴーニュ公国の統治下にあった15世紀から16世紀のネーデルラントで発展した地域であり、北ヨーロッパ(現在のフランス、ドイツ、ベルギー、オランダ)となります。


フランドル絵画では、ピーテル・ブリューゲル(父子)やレンブラント、そしてルーベンスの作品が必見です。特に、ルーベンスについては「ルーベンスの部屋」が用意されており、部屋全体にルーベンスの作品が展示されている光景にも圧巻されます。


ピーテル・ブリューゲルの『怠け者の天国』

ピーテル・ブリューゲルの『怠け者の天国』
ピーテル・ブリューゲルの『怠け者の天国』


こちらはピーテル・ブリューゲル(父)の『怠け者の天国』という作品で、3人の満腹状態の男性が寝そべっている姿が描かれており、それぞれ聖職者、兵士、農民となります。


よく見ると聖職者は毛皮のコート、兵士はクッションで農民は地べたの上で寝ており、それぞれの社会的地位が絵画の中でも表されています。他にもナイフの刺さった豚や自ら皿に足を運ぶガチョウ、そして屋根の上にタルトなど、作品全体がユーモラスに描かれています。


レンブラント・ファン・レインの『自画像』

レンブラントの『自画像』
レンブラントの『自画像』


こちらはレンブラントが1629年に制作した自画像となり、画家となった初期の頃の作品です。


以降、数多くの自画像を世に残していますが、これらは当然、依頼を受けて描かれたものではありません。自分の内面を自画像で描いて表現することで技術を磨いていたとされています。


ロヒール・ファン・デル・ウェイデンの『東方三博士の礼拝』

東方三博士の礼拝
ロヒール・ファン・デル・ウェイデンの『東方三博士の礼拝』


こちらは、ロヒール・ファン・デル・ウェイデンの晩年の傑作です。


「東方三博士の礼拝」とタイトルが付いてますが、3枚の絵は物語になっており、左から「受胎告知➡東方三博士の礼拝➡主の奉献」と続きます。また別名、『コロンバの祭壇画』とも呼ばれています。


ピーテル・パウル・ルーベンスの部屋

ピーテル・パウル・ルーベンスの部屋


フランドル絵画の巨匠ルーベンスは数多くの作品を残しており、『王の画家にして画家の王』と称されるほど、美術史において最も成功した人物です。


フランダースの犬で主人公ネロが教会に飾られている絵画に憧れていた「キリスト昇架」「キリスト降架」を残した画家としても知られています。アルテ・ピナコテークでは世界有数のコレクションを誇り、多くの作品を鑑賞することができます。


ルーベンスの『最後の審判』

ルーベンスの『最後の審判』
ルーベンスの『最後の審判』


こちらはルーベンスの宗教画における代表作。


巨大な絵画は縦が6mもあり、この作品を基準にしてアルテ・ピナコテークの天井の高さは決められたと言われています。最後の審判は聖書においても重要な教義でもある為、同時期に別注で断罪の場面を強調し最後の審判(小)も制作しています。


同じくアルテ・ピナコテークに展示されているのでお忘れなく。

ちなみに、こちらの旅行記で紹介しています⬇



ルーベンスの『地獄堕ち』

ルーベンスの『地獄堕ち』
ルーベンスの『地獄堕ち』


こちらはタイトル通り、罰せられたものが地獄に堕ちていく様子が描かれています。正に、この世とは思えない描写がされており、救いの手は一切なく地獄堕ちした人々の苦悶の表情が恐ろしさを増幅させます。


ルーベンスの『ルーベンスとイザベラ・ブラント』

ピーテル・パウル・ルーベンス『ルーベンスとイザベラ・ブラント』
ルーベンスの『ルーベンスとイザベラ・ブラント』


こちらはルーベンスが自分達の結婚を記念して制作した肖像画です。


背景に描かれたスイカズラは、甘い香りがする植物で、ツルが絡み合うことから『恋人の象徴』とされています。ちなみに結婚されたのは、ルーベンスが32歳、イザベラが18歳の時です。


ルーベンスの『レウキッポスの娘たちの略奪』

ルーベンスの『レウキッポスの娘たちの略奪』
ルーベンスの『レウキッポスの娘たちの略奪』


こちらは神話にもとづいて描かれた絵画で、二人の男性(双子のカストルとポルックス)が女性(ヒラエイラとポイベ)を誘拐して妻にする場面となります。


二人の女性は男性の叔父の娘であり、かつ女性は共に婚約者がいるという、やるせない気持ちにさせられますが、状況を理解したうえで作品を鑑賞すると悪い意味で躍動感と悲壮感が伝わってきます。


ルーベンスの『ライオン狩り』

ルーベンスの『ライオン狩り』
ルーベンスの『ライオン狩り』


こちらは狩猟の場面となり題材自体は当時からありふれていますが、人間が動物に狩られる、劣勢の状況を描写している作品は異例であり、それによって人間と獣との生死を賭けた戦いが躍動的に描かれています。


ルーベンスの『花輪の聖母』

ルーベンスの『花輪の聖母』
ルーベンスの『花輪の聖母』


ルーベンスは他の画家と共作で描いた作品も多数残しています。


こちらはピーテル・ブリューゲルの次男であり、友人でもあった「ヤン・ブリューゲル」との共作です。ヤン・ブリューゲルは花の静物を得意としており、『花のブリューゲル』と称されるほど。


ルーベンスが人物を、そしてブリューゲルが外枠の花の制作を担当しており、ルーベンスの交友関係を示す資料として、そして互いの得意分野で制作された完成度の高い作品として評価されている作品です。


ルーベンスの『幼児虐殺』

ルーベンスの『幼児虐殺』
ルーベンスの『幼児虐殺』


こちらの絵画はキリスト教の聖書に記された幼児虐殺が題材となっています。


当時の王であるヘロデ大王は、新しい王(イエス・キリスト)がベツレヘムで誕生したという予言を耳にし脅威に感じていましたが、その子どもが誰なのか知る由もありません。そこで非道な決断ですが、その町に住む2才以下の男児を見境なく殺害したとされています。


イエスの生誕については別記事で詳しく紹介しています。


フランスの絵画

ロココ美術が隆盛であった18世紀を代表する画家として、巨匠フランソワ・ブーシェとその弟子であり、ロココ後期(晩年)に活躍したジャン・オノレ・フラゴナールの作品は必見です。


ロココとはロカイユ(岩)に由来する語源であり、貝殻で装飾された岩組をロカイユ装飾と呼び、貝殻の曲線を多用した装飾全般を指しています。前の時代の豪華で華麗なバロック様式に対して、ロココ様式は優美で繊細な印象を与える絵画が特徴です。


フランソワ・ブーシェの『ソファーに横たわる裸婦』

フランソワ・ブーシェの『ソファーに横たわる裸婦』
フランソワ・ブーシェの『ソファーに横たわる裸婦』


こちらはロココ美術の大画家フランソワ・ブーシェの代表作になり、「黄金のオダリスク」や「金髪のオダリスク」とも呼ばれています。


モデルの女性はルーアン出身の夫人ルイーズ・オマフィーとされており、47年間にわたりブーシェのモデルを務めた人物です。


フランソワ・ブーシェの『ポンパドゥール夫人の肖像』

フランソワ・ブーシェの『ポンパドゥール夫人の肖像』
フランソワ・ブーシェの『ポンパドゥール夫人の肖像』


モデルのポンパドゥール伯爵夫人は美貌もさることながら聡明な方であり、ルイ15世の公妾になってからは影で国を動かしていた人物とされています。


余談ですが、女性が前髪を立ち上げ丸くまとめて留める髪型「ポンパドール」はポンパドゥール夫人の名前が由来です。


ジャン・オノレ・フラゴナールの『犬と戯れる少女』

ジャン・オノレ・フラゴナールの『犬と戯れる少女』
ジャン・オノレ・フラゴナールの『犬と戯れる少女』


こちらは別名、「犬と遊ぶ少女」や「ベッドで子犬と戯れる娘」とも呼ばれています。


少女の姿が嫌らしすぎない絶妙な甘美さで描かれていますが、フラゴナールは「あぶな絵」を得意とした画家です。少女のポーズは性行為を連想させるポーズをとっており、犬は繁殖力の高さから肉欲のシンボルとして、男性を連想させる位置に敢えて描かれています。


スペインの絵画

エル・グレコの『聖衣剥奪』

エル・グレコの『聖衣剥奪』
エル・グレコの『聖衣剥奪』


独特なタッチで遠くからでも誰の作品なのか、ひと目で分かるエル・グレコの作品。


こちらはマルコによる福音書に記された「聖衣剥奪」の場面が描かれた宗教画となりますが、群衆の位置がイエス・キリストの頭より上部に描かれており当時としてはご法度。そして左下に聖母マリアやマグダラのマリア、小ヤコブの母が描かれていますが、聖書には登場しておらず記述されていません。


そのためエル・グレコによる独自の宗教観で掛かれており、異教的な考え方はタブーとされていた為、多くの方から批判を受けました。トレド大聖堂聖具室の祭壇画を制作する為に描かれた作品ですが、依頼主からも批判され、報酬を減額させられたというエピソードが残されています。


補足:ゴッホの「ひまわり」が鑑賞できます!

近代絵画である、ゴッホの「ひまわり」はノイエ・ピナコテークに本来は展示されていますが、同館は2025年まで改修工事が予定されており、一時的に入館できません。


そのため、一部の作品がアルテ・ピナコテークが展示されており、ゴッホの代表作『ひまわり』を鑑賞することができます。近代絵画が好きでノイエ・ピナコテークに訪れたかった方は、アルテ・ピナコテークで鑑賞できるので是非、お忘れずに。


アルテピナコテークの営業時間や入場料

■住所
Barer Str. 27, 80333 München


■地図


■営業時間
・毎日(月曜休館):午前10時〜午後6時
・火曜日:午前10時〜午後8時


■入場料
大人:4ユーロ

※全てのピナコテークに共通して、日曜日は、1ユーロで入館可。


営業時間や入場料については変更になる場合もあるので、詳しい情報は公式サイトで確認してください。


■公式サイト
Bayerische Staatsgemäldesammlungen


まとめ:アルテ・ピナコテークは世界有数の絵画コレクションを誇る美術館です!

アルテ・ピナコテークの外観



本日はアルテピナコテークの主要作品を紹介しましたが、いかがだったでしょうか。


アルテ・ピナコテークは世界6大美術館の名に相応しい、絵画コレクションを誇り、有名絵画を存分に鑑賞できます。貴重な作品や見どころは他にもありますが、本記事の名画を押さえることができれば主要作品は網羅できていると思います。


補足情報として、私自身は常設展示のみ鑑賞しましたが、約4時間ほど滞在しました。急ぎ足で作品を見て回っての時間なので、これから訪れる方は5時間ほどスケジュールを確保したようが良いと思います。


古典絵画や宗教画が好きな人は贅沢な時間を堪能できます。


見応えがありますよ!


というわけで本日は以上です。皆さんの旅行の計画に、そして絵画の知識として参考になれば幸いです。


では!!


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